コラム/建築革命宣言!
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第16回

ビーアイジーグループ代表 青山洋一の挑戦(2) 山中省吾 2000.02.14

スピード、変化、元気
 とにかく元気で明るく楽しい人だった。声はかすれていたが、聞く者を引き付け、強く訴える力があった。声は不思議で、その人の生命の状態をありのままに表す。講演終了後に質問をした。
 「青山さんの元気の源は?」
 青山さんはジェットコースターの人生だと言った。落ちるときもあれば、昇るときもある。落ちれば必ず昇る。悪いことはすべてその日のうちに、なるべく短期間に出し尽くす。それが落ちている状態だ。勢いよく落ちれば、次は必ず勢いよく昇る。落ちていく時間を短くしたい。それにはスピードだ。次の上昇をおもいっきり楽しみたい。
 「闇が深ければ深いほど、夜明けは近い」
 文豪トルストイの言葉だったろうか。人生の深い意味を込めた言葉である。青山さんのジェットコースターも、一面同じ意味を含んでいる。いかし、青山さんには「耐える」といったイメージや、宿命的という重さを感じない。現代的な、ゲーム感覚の明るさしか、そこには無い。会社の社是は、「スピード、変化、元気」だと言う。まさにジェットコースターだ。

職場を20回以上変えた、オレは社長になる
 何処に勤めても、うまくいかなかった。社長には気に入られたが、サラリーマンとしては、ことごとく通用しなかったと青山さんは言う。10代の後半から20代の前半で職場を20回以上変えた。勤めていた会社の社長から言われた。
 「君はサラリーマンには向かないよ。何か事業をしたほうがいい」。
また、同じころ同級生からも言われた。20歳のころだった。
 「僕が専務をやるから、君が社長になって、何かやろうよ」。
 青山さんは子供の頃から社長を身近に見て育った。父親が島根県の田舎町で、土木会社の社長をしていた。いつしか自分は父親の会社を継いで、社長になると漠然と思っていた。だけど、テレビで見るような、もっとカッコイイ社長になりたいと思った。父親は朝早くから夜遅くまで働き通しで、家庭の団欒どころではなかった。従業員のために、家族を犠牲にして働いているように映った。テレビで見る社長は、良い車に乗って、大きな家に住んで、立派なビルを持っていた。そんな社長になりたいと思った。
 青山さんが10代の後半になった頃、不幸にも父親は事業に失敗する。家も屋敷も無くなった。しかし、青山さんの語り口調には、微塵も暗さや悲哀が無い。あっけらかんとしている。少なくとも表面上は。勉強もしないで、子供のころから遊んでばかりいた、と気さくに笑う。

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