家を創るための新しい方法「オープンシステム」
実際には、どんな方法なのでしょう?

ここでは、山田家が家を建てようと決意して「オープンシステム」に出会い、
実際に家が完成するまでの工程を通してご説明します。

登場人物

ご主人:38才(サラリーマン)
奥さま:37才(専業主婦)
長女:13才(中学2年生)
長男:11才(小学6年生)
建築家:45才

そろそろ家を建てたいね・・・

山田家は久しぶりの一家団らんです。ご主人はこのところ残業続きでした。
「お父さん、今日は珍しく早いわね。」
と奥さまがからかうと、
「亭主元気で留守がいい。これがいちばん平和なんだぞ。」
と、ご主人は反撃していました。


奥さま 「そろそろ家が欲しいね…。」
「そうだな。どうせ建てるのなら早いほうがいいかもね。」
「ヤッター! ねえねえ、どんな家。私は吹き抜けのある家がほしいな。」
「僕はアメリカ人が住むような家。」
「オレはやっぱり和風だな。日本人の基本だね。」
「私はきれいなキッチンと大きなリビングがほしいな。」
「それでは、さっそく準備開始!」
わん!ポイント−家を建てるための情報収集
念願の家を建てたいと思ったらすぐ実行。でも、ちょっと待って!何事も慎重に。特に家は一生の買い物です。何かを始めようと思ったら、まず、情報の収集から始めるのが基本。立地条件・規模・支払可能な金額・将来の事など決めなければならないことは、たくさんあります。特に欠陥住宅・シックハウスなど、知らなかったでは済まない問題もあります。まず情報収集に勤め、後悔しないよう家族でよく話し合いましょう。

まずは情報収集から

いざ家を建てると決めたとたん、奥さまの頭の中は住宅のことで一杯になりました。そういう気持ちで新聞に目を通すと、住宅の広告やチラシはものすごい量です。テレビのコマーシャルもたくさんあります。書店に行ってみたら、住宅雑誌もずいぶんありました。 「こんな家がいいなあ、こっちの家もいいなあ…。」 奥さまの夢はどんどん膨らんでいきます。新しい家の、新しい生活を想像すると、なんだかとっても幸せな気持ちになります。でも、いろいろ調べていくうち、欠陥住宅・シックハウスなどが、社会的に大きな問題になっている事も解ってきました。

展示場めぐり

今日は楽しいピクニック。一家そろって住宅展示場めぐりです。ナビゲーター役は奥さまが務めます。資料もずいぶん集めました。住宅に関する本も5冊くらいは読みました。山田家の中ではちょっとした住宅評論家なのですが・・・
A社営業マン: 「これからは高気密・高断熱です。気密レベル**以下は当社だけです。」
B社営業マン: 「当社は北米から資材を輸入しています。ムクの床材を見てください。」
C社営業マン: 「震災でツーバイフォーの強さが証明されました。」
D社営業マン: 「工業化住宅ですから、構造的な狂いは絶対に生じません。」
E社営業マン: 「自然素材を使った健康住宅です。呼吸する家が最高です。」

誰に相談すれば良いのだろう?

各社が一斉に図面と見積書を持ってきました。モデルハウスはどこも立派だったのに・・・あれはオプション、これは別途工事。我が家の図面はありきたりの規格品のようです。予算があるから仕方ないか、現実は厳しいなとも思うのですが、打合せをするたびに夢がしぼんでいくように思いました。最初は楽しかったのに、どうしてだろう。だんだん憂鬱になってきました。もっとじっくり考えたいのに・・・欠陥住宅・シックハウスの事を聞いても、納得いく返事がありません。いったい誰に相談すれば良いのでしょうか?

建築家と一緒に家を建てる

「ちょっと面白い記事が載っていたぞ。」 ご主人が手にしているのは日経トレンディー10月号です。さっそくホームページを開いてみました。
「建築家と一緒に家を建てる〜オープンシステムか。セミナーもやってるぞ。」
「建築家と一緒にとことんこだわってみたいけど・・・その分高くなりそうだし・・・」
「工務店を通さないから、トータル費用は安くなるらしいぞ。」
「それじゃあ、設計事務所が請負うということ?」
「そうじゃない。オレたちが直接専門工事会社と契約をする仕組のようだ。」
「そんなことができるのかしら。」
「実例もずいぶんあるし、建築家のネットワークも全国に広がっている。」
「一度聞きにいってみる価値はありそうね。行きましょうよ。」
わん!ポイント−専門工事会社って?
家を建てようとした場合、打合せを行うのはハウスメーカーの営業の人だったり、建築家であったりしますが、実際に家を建てる作業を行うのは専門工事会社の職人さんです。この職人さんは職種により専門が分かれています。たとえば、基礎工事を行う基礎屋さん、木工事を行う大工さん、塗装工事を行う塗装屋さんなどです。家を建てる場合は15〜20業種の専門工事会社がそれぞれの分野を担当しています。

カルチャーショック

セミナーに参加したご夫婦は、カルチャーショックを受けました。
「目から鱗とはこのことだよ。」
「本当だわ。世の中にはあべこべになっていることがずいぶん多いのね。」
「一括で請負う工務店やハウスメーカーに利益や経費が集中してたんだ。」
「職人さんは工務店の社員だと思っていたけど、全部下請だったのね。」
「建設業界ってまるでピラミッド構造のようだ。頂点が全部吸い上げる。」
「モデルハウスの建設費も維持費も全部私たちが払っていたのね。」
「宣伝広告費も営業マンの費用もサービスで描いてきた設計図もだ。」
「設計はサービスだなんて、おかしいわよね。一番大事なところなのに。」
「無駄な経費を省いて、その分設計や監理に力を注ぐ。」
「希望が見えてきたわ。」
わん!ポイント−家に支払うお金は?
工務店・ハウスメーカーで家を建てた場合、家を建てるのに支払ったお金の一部は、元請会社が利益計上します。この中から営業経費として、広告費・モデルハウス建築費・営業人件費・設計費などに充当されるので、自分の家の費用とは関係ない部分のお金も相当額支払っていることになります。

設計事務所を尋ねて

膳は急げ、さっそくオープンシステムの事務所を訪問しました。事務所には専門書や雑誌がいっぱいあります。住宅の模型もそこかしこに。
「一軒一軒住宅の模型を造るのですか?」
「模型を造ることによって、はじめてお客様の意見が引き出せるのですよ。」
「屋根をはずすと中の様子が見えるし、これだとよく解るわね。」
「敷地を上手に利用していますね。」
「一般解を提示するのではなく、特殊解を見出すのが私たちの仕事です。」
「この家はどうして階段を居間に造ったのですか。」
「家族のコミュニケーションをどのように考えるか?ということを煮詰めた結果です。」
「家の設計とは家族や、大げさに言えば人生を改めて考え直すことなのね。」
「おまえ、がらに無く良いこと言うじゃないか。」
話はつきませんでした。奥さまは再び家を創ることの楽しみを見出したようです。奥さまがうきうきしていると、ご主人や子供たちにも、うきうきは伝染するようです。一応、親戚や銀行のかたに相談してみました。「そんなことが本当に可能なの?」とみんな否定的でした。それでも山田家は建築家と一緒に、オープンシステムで家を建てる方法を選びました。

念願のマイホーム完成

設計に要した期間は6ヶ月、見積の分析に1ヶ月、工事に4ヶ月かかりました。建築家に業務を委託してから、ほぼ1年がかりです。
「木の香りがすばらしいわ。木の梁をデザインにしたのも素敵ね。」
「工務店やハウスメーカーには絶対できない技だね。」
「できたにしても、目が飛び出るほど高いわよ。」
「安いルートで建材を直接購入することができたのはありがたかったね。」
「補償制度も充実しているので安心だわ。」
「工事期間中も建築家自ら要所をチェックしてくれたしね。」
「大工さんや左官さんや塗装屋さんも直接契約したので、みんな元請ね。」
「ちょっと面倒だったけど、職人さんたち、みんな張り切っていたね。」
「業種毎に出てきた見積もそのまま公開してくださったし。」
「工務店の見積と比べたらずいぶん差があったね。」
「この家なら坪70万円と言ってもみんな信じるかもよ。」
「とても40万円台には見えないね。建築家の努力だね。感謝。」
「このシステムが広まるといいわね。応援してあげましょうよ。」

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